皆さんごきげんよう!北海道で製麺に携わって25年の現役技能士が今日も語っちゃいます。
昭和44年(1969年)創業。半世紀以上にわたり「旭川ラーメン」の看板を背負い続ける伝説の名店『梅光軒』。 2025年4月、満を持して札幌・すすきのにオープンした「すすきの店」でしたが……なんと2026年5月23日をもって、わずか1年余りで完全閉店してしまいました。
今回は、幻となってしまった「すすきの店」の実食レビューを通し、期待値が高い超有名店だからこそ誤魔化しが効かない「本質的なクオリティ」について、プロの視点から忖度なしでガチ解説していきます!
- 【総合評価】1年での閉店も納得:全体的にクオリティのブレが否めず、期待を超える一杯ではなかった。
- 【スープ】正直「パンチ不足」:伝統のWスープだが、有名店ならではの深みやキレが弱い。
- 【麺】後半の「ダレ」が致命的:低加水麺がスープを吸いすぎ、最後まで食感が持続しない。
- 【具材】メンマは◎、肉は△:名物の極太メンマはインパクト抜群だが、チャーシューのパサつき、旨味の抜けが惜しい。

わずか1年で完全閉店。現役職人が見抜いていた「すすきの店」の真実

鳴り物入りでオープンしたすすきの店ですが、結果的には非常に短命に終わってしまいました。そこには、職人目線で見ると「なるほど…」と納得せざるを得ない理由が隠されていました。
名門ブランドが直面した「味のブレ」と激戦区の壁
公式な閉店理由は「人員不足」とのことですが、実は私、閉店前にこの店舗を訪れ、職人目線で「ある決定的な違和感」を感じていました。ミシュラン掲載、ラーメン大賞受賞など数々の栄光を持つ老舗ブランドであっても、激戦区すすきので店舗を増やし、クオリティを維持することの難しさをまざまざと感じる一杯だったのです。
旭川伝統のWスープに感じた「物足りなさ」の正体

まずはラーメンの要となるスープから。梅光軒ならではの伝統的な製法が、すすきの店でどう表現されているのか、じっくり味わってみました。
豚骨×魚介のベースは健在。しかしパンチ不足は否めない
梅光軒といえば、豚骨・鶏ガラの「動物系」と、煮干し・昆布の「魚介系」を合わせた旭川伝統のWスープが代名詞です。大雪山系の軟水を使うことで、骨の髄まで旨みを引き出しているのが特徴とされています。

実際「醤油ラーメン(950円)」のスープは、たしかに昔ながらの良さはありました。しかし有名店の看板から想像するほどの「深み」や「キレ」が、正直私にはあまり感じられませんでした。現代の凄まじく進化したラーメン業界の中においては、少しパンチ不足な印象を拭えません。
意外な伏兵!飲んだ後の〆に最高!背脂が包み込む「塩ラーメン」
実は今回、一番の驚きだったのがこちらのメニューです。「梅光軒といえば醤油」という先入観を見事に裏切ってくれました。
醤油のイメージが強い梅光軒ですが、実は一緒に頼んだ「塩ラーメン(950円)」に意外な魅力を発見しました。

表面には細かな背脂が浮かんでおり、見た目はこってりしていそうですが、スープを飲んでみると醤油以上にスッキリ! 背脂の甘みが塩の尖りを丸く包み込んでおり、非常にマイルドで飲みやすい仕上がりになっています。個人的には、すすきのの夜の「締めの一杯」として選ぶなら、醤油よりも断然こちらの塩の方に軍配が上がりました。

名物「極太メンマ」と、少し惜しいチャーシュー
梅光軒の代名詞とも言える極太のメンマは、見た目のインパクトが抜群で、コリコリとした食感が良いアクセントになっています。
しかし、ラーメンの華であるべきチャーシューに関しては、旨味の抜けやパサつきが気になりました。スープとの一体感に欠ける部分が見受けられ、少しもったいない仕上がりだったのが正直なところです。
製麺技能士のガチ苦言!最後まで「活き」が持続しない自家製麺
そして、麺と向き合い続けてきた私が最も気になってしまったのが「麺」のクオリティです。プロとしてどうしても看過できなかった点をお伝えします。

旭川らしい低加水麺が抱える「スープを吸いすぎる」ジレンマ
梅光軒は「卵不使用」「低加水の中細ちぢれ麺」を採用しています。旭川伝統の低加水麺は、スープを吸い込みながら丼の中で「完成」へと向かう、言わば呼吸をする麺です。
一口目の小麦の香りは悪くないのですが、ここの麺はスープとの親和性が驚くほど低く感じました。食べ進めるうちにスープを吸いすぎてしまい、後半の食感が急激にダレてしまうのです。

職人だからこそ分かる、毎日の「粉との対話」の難しさ
啜った瞬間に広がるはずの小麦の生命力が弱く、自家製ならではの「打ち立ての勢い」が失われている。日々粉と向き合っている職人として、この劣化の早さと芯のぼやけは看過できないポイントでした。
小麦の選定やその日の気温に合わせた加水率の微調整は、私たち職人にとっても永遠の課題です。もしかすると、すすきの店での製麺や茹で上げにおいて、その繊細なバランスが崩れていたのかもしれません。
公式理由は「人員不足」。しかし本当の要因は…?
冒頭でもお伝えした通り、「梅光軒 すすきの店」は2026年5月23日に閉店しました。公式には「人員不足」とされています。

すすきのの夜のニーズを捉えた「こってり背脂ラーメン」や「特選醤油」など、地域に寄り添う限定メニューの工夫は素晴らしかっただけに残念です。しかし、今回の実食で私が感じた「味のブレ」や「麺の劣化の早さ」が、舌の肥えた客が集まる激戦区すすきのでの生き残りを難しくした一因だったのではないか……と、職人としては考えずにはいられません。
有名店の看板に惑わされず、自分の舌で判断しよう
結局なところ、「ガイドブックに載っているから」「ミシュランに掲載されたから」という理由だけで、それが自分にとっての最高の一杯になるとは限りません。
今回の厳しい評価は、あくまで25年のキャリアで培った「麺へのこだわり」というフィルターを通した、すすきの店での一期一会の感想です。梅光軒が旭川ラーメンの歴史を支えてきた功績は揺るぎない事実であり、本店が提供する本来のクオリティはまた別のものであるはずです。



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